やまん婆のきのこ鍋と、きつねの復讐

レビュー

ネタバレレビューを
★★★★★

物語内容は古典的ですが物語言説には私の管見の内では新しいものがあります。
オノマトペを中心に発言や心の内の言葉などの記述が間を持ち、閑散としているのでゆったりと朗読を聴くような体験でした。
またかなりカジュアルな表現の数々、特に(笑)も可読性の向上に大きな貢献をしています。濡れ場がありながら厳選され抽出された言葉は欲望を除いて殆ど湿っぽさを感じません。
これら要素は作品を、少なくとも怪談として高い完成度を持つ物にしています。と言うのは民間伝承としての怪談の成立には誰にでも伝わりやすい事が前提としてあり、この作品は新しい形式でありながら物語内容と表現の調和を達成しているからです。

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